きおくのへや

キモオタリアリティ

モッチーとミサミサ

デスノートの模木さんと海砂の話 キモい長い語り


模木さんと海砂のなんとも言えない関係性が大好きです。
かたや40近いデカくて真面目な男性。かたや驚異的な若さと可愛さを保つ天真爛漫な女性、というか印象としては女の子。
傍目にはアイドルとマネージャーだけど、実のところは大量殺人容疑のかかった被疑者とそれを監視する刑事。お互いをすごくキャッチーなあだ名で呼び合っている。モッチーとミサミサ
マネージャーとアイドルという演技が必要ない場面でも敬語使ってるけど、ミサミサは一応「上司の伴侶」だから目上なのかな。そもそも月は指揮官ではあったけど上司ではない気がする。あの辺の権力関係はよくわからん。
被疑者と刑事が同じ屋根の下で眠り、刑事は被疑者に付きっきりで料理や荷物持ちほか何でもやってあげて、誘拐のち軟禁されるときも二人一緒、密室に二人きりで閉じ込められて、やることといったらババ抜きとかリバーシとか。
人懐っこいミサミサと、なんだかんだ押しに弱そうで流されやすそうな模木さん。
男女、同居、長期間、何も起きないはずはなく……と勘ぐってしまうのは私の心が汚いからだ。ただこれほどまでに「なにかが起こるはずはない」と確信を持てる人たちも珍しい。
月のことを文字通り死ぬほど愛している、というのがミサミサアイデンティティなので、ほかの男に揺らぐことは100%ない。言い切れる。


で、模木さんサイドはどうだろう。恋愛感情までとはいかずとも、ミサミサに対してなにか思うところがあったんじゃないかなと考え出すと結構面白い。
最大の問題は、作中での模木さんは清々しいくらい、作品を展開させるための駒でしかないこと。仕事には熱心に取り組んでいたけど無口な上にモノローグも少なくて、模木さんの素の性格なんてほとんどわからない。好きなものは料理で嫌いなものは自己表現とか本編読めばわかることしか判明していない。
ミサミサの言葉に吹き出したりセクシーネグリジェ姿に見入ったりしてたので、クソ真面目で仕事のことしか考えていない四角四面な性格ってわけでもないんだろうな~くらいのぼんやりしたアタリをつけるのが限界である。
そう仮定した上で、多分模木さんはミサミサのことは嫌いじゃないと思う。好き勝手振り回されて、彼女のわがまま放題に付き合わされて、そりゃうんざりすることもあろう。
でもそれ以上にミサミサはいい子だ。自由奔放というのは裏を返せば表裏のない性格ということで、これは長所だと思う。あと模木さんと関わっている時のミサミサは基本的にノートの記憶を失っている。自分が第二のキラだったなんて露ほども思っていない。第二のキラだということを示すような、あるいはそれを隠すような怪しい行動は一切取らない。
何よりミサミサは小さくて可愛い。大きい人がちっちゃいかわいいものを好きみたいなのは二次元だと定番だし。
多分、さっきからこればっかりだけど多分、模木さんは結構ミサミサのこと、嫌いじゃなかったんじゃなかろうか。可愛い子に付きっきりで、バンバン頼られて、買い物のときには腕とか組まれちゃう。好き嫌い関係なく、愛着はわくと思う。
相手が殺人犯かもしれないとなるとそんな呑気なことは言っていられないか。でもほら推定無罪だから……


模木さんは割とミサミサのことは悪く思っていない、第二のキラ容疑はかかっているものの決定的証拠はないから白とみている、という仮定で考えてみる。
ラストシーン、錯乱状態の月はミサや清美の名を呼ぶ。その時点で証拠がなかろうとも、ミサが月の協力者、もっと言うと第二のキラであることは確定してしまうわけです。
模木さんはどう感じただろう。
約七年間、命を投げ売って追いかけた大量殺人犯は、自分が料理を作ってやったり遊んでやったりしていた女の子だったと。
一年後、月の死を知ったミサミサは自殺します。
この空白の一年間がすごく気になる。大量殺人犯に間違いないが本人にその記憶はなく、確たる証拠もないので法で裁くことも、なんなら私刑も不可能。模木さんはそんな相手にどんな感情を持って、どのように関わってたんだろう。
あと松田が月の死をポロッとバラしちゃったっていうのは、流石にいくら松田でもそこまでバカじゃないんじゃないか?! みたいな気持ちになる。自分の発言で人が自殺して何も感じない奴でもなかろうし。
松田とミサが普通に話せる環境ということはミサは監獄に入ってるわけではないみたいだし、どうなってたんだろう。ミサは月に愛されていると思い込んでいるのに、一年間も自分に連絡一つ寄越さない月のことを不自然に思わないのかな。どれだけうまく誤魔化しても一年はちょっと……捜査本部まで乗り込んできそう。


色々なことを忘れて二人揃った場面だけ見ると模木さんとミサミサは上手くやってた。
模木さんがミサのことを結構嫌いじゃなかったと仮定して、彼女が第二のキラだったと知ったら、一転して憎悪の対象に変わるだろうか。
いや、でも、そのくらいの気持ちじゃないと、あの捜査本部に何年も残ってるはずないんだよね。それはわかってるんだけど、割と楽しくやっていた日々まで一瞬で塵と化すのか否か、こればかりは想像がつかない。
いつ考えても結論は出なくて、とりあえずはっきり言えるのは、キラ事件は捜査本部の皆さんにとってトラウマもんだろうということだけ。
捜査本部は無能だったけど、「友人(L)を失って父も失って、それでもなおキラ事件の捜査を続ける月くん」に対して疑いの目を向けるのは本人達も辛かったろう。
しかもそんな健気な青年に七年も出し抜かれてたんだから本当お疲れ様です……