きおくのへや

キモオタリアリティ

火事の夢

先月祖母が亡くなりました。
「今日は雨が降ってるから、会うのはまた今度にしよう」と言った翌日のことでした。
会ったか会わないかくらいでは運命は変わらないんだろうと思うけど、たかが雨くらいでなんで渋っていたんだろう、と殊更に考えてしまう。風が吹けば桶屋が儲かるじゃないけど、少なくともあの日に会っていたら今の心持はだいぶ違っていた。
葬儀も済ませて、自分の手で骨上げもして、骨壺に収まる瞬間までしっかりと見ていたはずなのに、まだ探せば会えるような気がする。
家を尋ねるたびに、あら! って笑って迎えてくれるのが本当に好きだった。

今日は実家が火事になる夢を見ました。
夢っていい加減なもので、窓から火が出ているのを見て駆けつけたらもう消火作業が済んでいたり、なぜかお隣さんの家と内装が繋がっていたり、他の部屋は何もなかったかのような綺麗な状態なのに自分の部屋だけ燃えてなくなってたりするし、そんな状況に疑問ひとつ抱かない。
それなのに、祖母が出てきた途端「これは夢なんだな」とあっさり理解できた。明晰夢の状態になってすぐ「夢の中だけでもまた会えた」と大喜びで縋り付いて泣いて、そこで気が昂ったのか目が覚めてしまったのがもったいなかった。
現実の私は、祖母がもうこの世にいないということをまだ受け入れきれていないつもりだったのに、夢の中ではすんなりと故人扱いしていて、なんだかもの悲しくなりました。まあいつまでも現実から目をそらしてるのも困るんだけど。
夢の中で使われる理性というか思考力はどこから来るんでしょうね。

人を忘れるときは声から、なんてよく言いますよね。
最後に会った日から1ヶ月以上経っているのですが、祖母の声も顔も、よく作ってくれていた料理の味も、幸いなことにまだ覚えています。
朧気になってしまう前にまた夢で会いたい。